Zero to Oneが何を教えてくれたか

渋谷Ruby会議01というイベントでLTをしました。

WebPay というスタートアップベンチャーで働いてることもあり、この手のスタートアップ文化に関わる書籍を読みあさっています。

社内での話題になることも多々ある書籍です。


Amazon.co.jp: ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか: ピーター・ティール, ブレイク・マスターズ, 瀧本 哲史, 関 美和: 本

 


ShibuyaRubyKaigi01 explanation of Zero to One // Speaker Deck

(個人的にはSpeaker Deckに資料上げる人は、英語でNameをちゃんと設定したほうがいいと思っている。なぜなら、URLがきれいに設定できるからだ)

 

Zero to Oneについては、Chef実践入門でご一緒させていただいた naoya さんも先日解説記事を書かれていました。


「リーン」について : 「何を作るか」よりも「何を作らない」か - naoyaのはてなダイアリー

「何を作らない」かというところは、もう少し自分なりの解釈があるので、この記事の後半で付け加えたいなぁと思っています。

 

この本の筋は、「0から1を作り出す」という話に向かっていると思います。

しかし、簡単な話ではないので、開発の拡散方向やこれまでの事例、歴史など各分野から得た知見などを紹介しつつ、ティール(著者)が大切と思うようになった定理を紹介している本なのかなと、個人的には思っています。

 

唯一彼がリーン・スタートアップを批判したとすれば、Peter Thiel はスケールがでかいことが好きなので「小さいプロダクト作って顧客からフィードバックループを集めるとかそんなことじゃ、例えば宇宙輸送とかテスラ電気自動車とか代替エネルギーとか、そういう未来は描けないじゃないか」というような、"ビジョン" とかその辺をどう考えるかというところである。そこに関して異論はない。 

 naoyaさんのblogではこのように述べています。

たしかに、隠された真実を解き明かしたところに独占市場があると言っていることから考えても、ちゃんと計画しろと言っているように受け取ることができます。

その上で自分は、

「ビッグで実現可能性のある計画書を持ちつつ、日々の改善はリーンでやろう」ということを言いたいのかなと汲み取りました。

 

成功する偉大な企業になるために、

  • 隠された真実を解き明かせ
  • 独占
  • 高いテクノロジー
  • ベストなタイミング
  • 最高のチーム
  • 販売を大切にして、顧客体験のコントロール

のようなことを、いくつかでも明確に答えられることが必要だと言っています。

読めば読むだけ、エンジニアリングだけでは良い未来を描けない気がしてきました。

販売を大切にせよと言っていることからもわかるように、エンジニアリングだけでは厳しいところがあるように思えます。

 

そこで、僕らエンジニアとして思うところは、「今すぐ何かを作り出すことだけを考えてはいけないような気がする」ということです。

ここは、「何を作らない」かというところに非常に似通ったところかと思います。

いい製品を作れば魔法のように販路が開かれると勘違いしている

(中略)

ただ作るだけでは買い手はやってこない。売ろうとしなければ売れないし、それは見かけより難しい。

と、ティールは明確に言っています。

 

実は、リーンスタートアップにも同様の記述があります。

フード・オン・ザ・テーブルの最初期のエピソードが非常に面白い内容です。

フード・オン・ザ・テーブルは、自分や家族の好みに合わせて1週間の献立と食材のリストを作ってくれる。材料については、近くの食品雑貨店でいい買い物ができる配慮もしてくれる。

(中略)

実は、最初の顧客が使いはじめたとき、フード・オン・ザ・テーブルには特別なソフトウェアも用意されていなければ事業開発契約も結んでいなかったし、シェフを雇ってもいなかった。

最初の顧客がサービスをひと通り体験し、対価として金銭を払うまでの1サイクルを完全に人の手でやりとげたということです。

なぜそのように、と思うかもしれませんがスタートアップではとても大切な学習サイクルになります。

こうして、ノウハウが徐々に蓄積していくと効率化を行うことができ、いずれは自動化が起こっていきます。

エンジニア文化での自動化は早期に行うのがよいとされますが、サービス設計の上では早過ぎる自動化(最適化)は、学習を阻害することになるということだと思います。

ポール・グレアムも、スケールしないことをしようと言っていますが、ここでは風呂敷を広げすぎたので、紹介だけに留めたいと思います。

 

【翻訳】ポール・グレアムによる「スケールしないことをしよう」前編 | POSTD

【翻訳】ポール・グレアムによる「スケールしないことをしよう」後編 | POSTD

 

サービスを通して、良い未来を描くためにはエンジニアリングだけでは足りないと思うのです。

 

先日、知人のエンジニアから聞いた話を紹介します。

採用に関わってみて初めて、経営層との考え方の差を感じた

どうやら、エンジニアリング以外にも知識が必要な分野は多そうです。特に、あなたがスタートアップで働いているならば。

 

結論として思ったことです

  • 目の前にチャンスがやってきた時のためにも、エンジニアリングが必要になった時に何かを作り出せるように準備しとく必要ある!
  • 小さな会社で、チャンスを逃さないようにするためにも、自分以外が何を考えて仕事をしているのかポエムでもなんでもいいから聞き出して共有しあう必要がありそう!

これまでよりも、行動がより具体的になりそうなイメージを持つことができました。知人のエンジニアに深く感謝します。