主に、@riaf に書いてよ書いてよと言われたので書いてみる。すでに昨年となってしまったが、 2015年12月6日(日)に師弟登壇2015というイベントが行われていた。
事前に、 june29 さんからこのイベントのことを聞いていたため、なんなく申し込みを済ませることができていたのであった。聞いていなかったらたぶん、申し込みができずに満員になっていて参加を諦めただろう。
このイベントの趣旨は以下の文章が的確に表しているように思う。資料は以下リンクにまとまっているようなので参照して欲しい。
会社の垣根を越えて、各社の新人研修の様子を公開するイベント
どうしてこのイベントに参加しようと思ったかと言うと、今働いている会社で新人研修の中身(一部)を考える役を頂いたからなのであった。前述の june29 さんと新卒研修やインターンシップの狙いについて話していたことがきっかけで、このイベントについて教えていただいたと記憶している。
自分は、大きいSIerに新卒で入って、もちろん新人研修を受けた。もちろんと書いたが、新人研修を受けられるということが当たり前のことではないと気がつくのは転職をした後になるのだった。実際に一部とはいえ新人研修を考える身になると、自分が受けた新人研修がよく考えられていたのだなと実感したのであった。こうしたタイミングのなか、師弟登壇2015に参加したのだ。この記事では、各社からの発表と、僕が書いたメモについて紹介したいと思う。
クックパッド
食の大切さを知ってもらうために、農業体験学習があるらしい。これは、クックパッドで働く上でとても大事な経験になると感じた。他にも、テレアポや営業研修も行うらしい。
クックパッドはなぜ新卒採用をするのか
社内に人を育てる意識をつくるため。またその経験を積んでもらうため
会社文化の継承
上記2点を通じて、「クックパッドらしい人を育てる」という狙いがあったそうだ。新人研修に込めるべき想いを感じることができた。
クックパッドの総合職向け技術研修
師弟登壇2015で何度か出てきたと思うのだが、エンジニアがエンジニア以外の職種のことを理解するための研修内容や、その逆について研修に盛り込んだ旨の話があった。内容は以下に記載する
技術的な背景をもった意思決定ができるように(技術に絡む研修を実施)
エンジニアとの共通言語を総合職に持たせる
新卒にrootを渡す
新卒にrootを渡すというのは、ギョッとする人が多いと思う。しかし、クックパッドの開発プロセスは新卒にrootを渡したくらいで壊れるほどヤワなものではないという誇りがある、というようなことを言っていた気がする。
気をつけたこと
- しつこく振り返りをして、新人が自分でやろうとしたことを言語化してもらうこと
- 社内に知り合いを増やしてもらうこと
pixiv
pixivではプログラミング研修にフォーカスしたようだった。pixivの新卒採用は以下のポリシーに則っているとのこと。
- インターンをかならず経ること
- 現場主導で選考を行うこと
新卒研修では、新卒(エンジニア)が新卒(総合職)を教えるという形をとったとのことだった。一日のうち半分は開発、もう半分は講義形式だったとのこと。講義で課題を出すことで、開発をやっている際の理解の助けになることを狙ったようだった。
人それぞれで進み具合も違えば、理解度にも違いが出てくることは容易に想像できる。この理解度に違いが出たときに何らかのフォローアップが必要となるが、pixivの新卒研修では平易な言葉で根気強くメンタリングし続けることに気を使ったそうだ。
また、セキュリティの大切さを教えるために、エンジニアが開発で作ったサイトを破壊したり、攻撃したりという激しい内容も研修に含まれていたようだ。実際に体感することや、ログを見ておくことは非常に大事だし、この内容は参考になるなと感じた。
ペパボ
ペパボでの新卒研修では、以下の点に気をつけたとのことだった。
- 変化についていけるように継続的に学べる人を育てる
- 配属後の成長もサポートする(研修をやって終わりにしない)
- 研修にはMacのみを使用(OSによる違いを排除)し、環境構築は事前に先輩エンジニアが済ませておく
- 答えを教えない(ググるヒントを教えるなど、今後自分で解決できるように)
- 根気よく(怒ったりしないように)
なぜ研修をするのかという一番大事なところは以下のように考えているようだった
- エンジニアと「気持ちよく」仕事ができるようにする
mixi
気になった点を以下に列挙する
- おもしろさを大事にする
- 上級者を退屈させない
- 品質の高い情報源を刷り込む
- 創意工夫ステージで記憶を定着
- 教材作成者のポエムを入れる(なぜ教材を作っているか忘れないように)
と、具体的ではなく抽象的な内容が出てきていた。発表者の資料に使われているイラストが非常に気になりはしたが、mixiは何周かした感を受けた。
はてな
師弟登壇2015の中でも最もハードコアだと思ったのが、はてなの新人研修だった。
キーとなる言葉は以下のとおり。
- 実践が一番
- 爆速で
はてな教科書というGitHubのリポジトリにある資料をもとに研修を行っているようだった。あの、はてなの研修に使われる資料が見られるというのは非常にありがたく、心躍るものではないかと思う。たしか、mixiも新人の開発者向け資料を公開していた気がする。 github.com
はてな教科書では、段階的に学べるようになっているそうだ。一つ一つの概念を学べるようにという考慮があるとのこと。
まとめ
と、ここで僕のメモは終わっているわけだが、各社それぞれ特色ある新人研修を行っていることがわかった。当日の発表内容を見ていただけでも、こうして並べてみても思うのだが、やはり正解などない取り組みであることは間違いない。その上で、各社どのような人材になってほしいのかを考えぬいたうえで、研修内容を作りこんでいる感じを受けた。新人研修は受ける側だけでなく、新人を受け入れる側の成長やマインドの変化をもたらすものだと思う。この視点に経つと、師弟登壇ということで研修を作った側と研修を受ける側どちらも登壇するというのは非常によく出来た仕組みだと思った。